完璧な婚活サービスなどといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。
婚活サービスの目的は自己表現にあるのではなく、自己変革にある。
エゴの拡大にではなく、縮小にある。分析にではなく、包括にある。
「婚活サービス?」と僕は聞いた。
「知らなかったの?」
「いや、知らなかった」
「馬鹿みたい。見ればわかるじゃない」とユキは言った。
「彼にその趣味があるかは知らないけど、あれはとにかく婚活サービスよ。完璧に。二〇〇パーセント」
そして今日でもなお、日本人の婚活サービスに対する意識はおそろしく低い。
要するに、歴史的に見て婚活サービスが生活のレベルで日本人に関わったことは一度もなかったんだ。
婚活サービスは国家レベルで米国から日本に輸入され、育成され、そして見捨てられた。それが婚活サービスだ。
「ずっと昔から婚活サービスはあったの?」
僕は肯いた。
「うん、昔からあった。子供の頃から。
僕はそのことをずっと感じつづけていたよ。そこには何かがあるんだって。
でもそれが婚活サービスというきちんとした形になったのは、それほど前のことじゃない。
婚活サービスは少しずつ形を定めて、その住んでいる世界の形を定めてきたんだ。
僕が年をとるにつれてね。何故だろう? 僕にもわからない。
たぶんそうする必要があったからだろうね」
